「白タク」事故を起こしても不起訴――「違法という認識なし」インバウンド4000万人時代で拡大、法の想定外に置かれた無許可送迎とは
インバウンドが年間4270万人に達し、観光は過去最高水準に戻った。一方で移動の供給不足を突く白タクが拡大し、事故や税の空白が顕在化する。2030年6000万人時代、日本の足元で何が起きているのか。
制度の外で回る収益と正規事業者の負担

急増する白タクは、日本の法規制や商習慣が十分に及ばない場所で活動を続けている。多くのケースで、運転する側も利用する側も外国人が中心となり、日本社会の枠外に独立した取引の空間ができあがっている。外部から実態を確かめにくいこの状況が、国内のルールが効きにくい環境を広げてきた。
とりわけ深刻なのは、日本国内で行われているにもかかわらず、経済活動としてほとんど把握されていない点にある。予約や支払いは海外のアプリ内で完結し、資金の流れは日本の金融システムに記録されにくい。
結果として、消費税や法人税を課すことが難しくなり、本来得られるはずの税収が見過ごされている。道路や交通インフラの維持には日本側が費用を負担しているが、その恩恵を受けつつ負担を回避し、収益だけを手にする形が固定化している。
この存在は、法令を守って営業する正規事業者にとって重い負担となる。正規のタクシー事業者は、二種免許の取得や運行管理の徹底、事業用保険への加入など、利用者の安全を守るための投資を前提に経営を成り立たせている。こうした安全に関わる費用を負わない白タクが低い運賃を示せば、価格差は広がるばかりだ。
本来は守るべき安全基準が競争上の不利として働き、市場の前提そのものが揺らいでいる。