「SLは仮の姿だった?」 実は“石灰石”などで4割稼ぐ異色鉄道―― 創業127年の上場企業とは

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秩父鉄道は鉄道収入の約4割を貨物が占める一方、SL運行や山頂レストハウス刷新で観光集客も強化。上場企業としての財務基盤と100年以上の歴史を背景に、沿線の新たな収益開拓に挑む地方私鉄の実力が本格化しつつある。

新たな収益鉱脈の発掘

アウトレットモールの最寄り駅となるふかや花園駅(画像:写真AC)秩父鉄道、観光と貨物の両立
アウトレットモールの最寄り駅となるふかや花園駅(画像:写真AC)秩父鉄道、観光と貨物の両立

 秩父鉄道の2025年3月期の営業収益は52億7600万円、営業利益は3億400万円だった。鉄道事業単体の営業収益は34億2600万円、営業利益は1700万円である。貨物部門は輸送量の減少で収入が落ち込んだ。

 一方、旅客部門では運賃改定に加え、体験型イベントの開催や夜行貸切列車の運行、各種記念乗車券の販売などの営業施策が奏功し、定期・定期外の旅客ともに増収となった。鉄道部門は前期の1億4300万円の赤字から黒字に転じている。

 その他の事業も黒字で、駐車場などの不動産業が3億7300万円、長瀞ラインくだりや宝登山ロープウェイなどの観光業が4億9400万円、コンビニや駅売店などの卸売・小売業が6億2500万円の営業収益を上げた。

 課題は、収益の約4割を占める貨物部門が

「中長期的に減少傾向」

にある点で、今後も増収は容易ではない。現状は旅客部門の増収策やその他の付帯事業の収益でカバーして黒字を維持しているが、さらなる収益拡大策が求められる。

 貨物や観光以外では、沿線で新たな収益源の兆しも見えている。秩父本線では2017年にソシオ流通センター駅、2018年にふかや花園駅が開業した。ソシオ流通センター駅は熊谷流通センター至近に位置し、2025年には県北エリア最大級の大規模展示場がオープンし、新たな需要が期待される。ふかや花園駅は、2022年開業のアウトレットモール最寄駅として先行開業した駅で、沿線広域からの需要を掘り起こした形だ。

 長い歴史を持つ秩父鉄道の実力が本格的に発揮されるのは、これからだろう。

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