5年連続「国内最悪」――都内通勤ライナーが生んだ177%の鬼混雑、緩和策は“劣化コピー”と呼ばれてしまうのか?
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- 鉄道, バス, 新交通システム, 日暮里・舎人ライナー
朝の混雑率177%、国内最悪を記録する日暮里・舎人ライナー。小型車両の構造的限界を背景に、東京都と足立区は直行バス実証実験に着手。混雑緩和と移動価値向上の両立が、都市交通改革の試金石となる。
バスを「劣化コピー」として扱う限界

並行して走るバスについて、読者はどのようなイメージを抱くだろうか。多くの場合、鉄道や新交通システムの
「劣化コピー」
と考えやすい。バスは鉄道や新交通の補完手段として位置付けられやすく、この認識が大きな課題を生む。道路渋滞もあるなかで、
「わざわざバスを選ぶより短時間で移動できる鉄道や新交通を利用する」
という思考が働くのは自然である。所要時間で劣るバスが、鉄道や新交通と同列の移動手段として扱われる限り、利用者は利便性の高い交通に集中し続け、経済的な合理性は働きにくい。
現在の貸切バス借り上げは、指定区間の定期や利用者証の保有、調査への協力など一定の条件を満たせば利用できる。あくまで実証実験であり、追加料金は不要だ。しかし運賃制度が混雑の固定化につながる構造を抱える点には注意が必要である。共通運賃や無料化は一見利用者に優しいように映るが、需要を分散させる力は働かず、鉄道や新交通の過密をそのまま温存する形になりかねない。制度が硬直することで、混雑緩和の効果は限定的になる。
道路空間の非効率な分配も課題として残る。一般車と混在するバスは定時性を確保しにくく、技術面や運用面の信頼性も鉄道や新交通に及ばない。結果として利用者の優先順位ではバスが最下位に固定されてしまう。鉄道や新交通とバスを同列に扱うのではなく、
バスに独自の付加価値を与え、利用者を分散させる工夫が求められる。所要時間や運行形態の違いを前提に、バスが
「別の選択肢」
として成立することが、混雑緩和のカギとなるのだ。