タクシー運転手の「タメ口」許される? 会社へ苦情で厳重注意、車内接客の実情に迫る
タクシー業界の内情を知る現役ドライバーが、業界の課題や展望を赤裸々に語る。今回は「乗客へのため口」について。
思わずため口が出てしまった瞬間
車は少し走って巨大な交差点のど真ん中まで来た。途端に女性は「あ、ここ右」と大きな声で指示してきた。交通量も多いし、急なことですぐには曲がれない。車は当然、交差点を過ぎてしまった。
あまりに突然だったので、うっかり「えー! 危ないよ、もっと早く言ってよ」とため口が出てしまった。
女性客は口を尖らせ「何やってんのよ。言った通りに走ってよ。右って言ったでしょ」と色をなす。思いがけない叱責(しっせき)に驚いたものの、ため口を使ったのは完全にこちら側の落ち度だ。
「大変に申し訳ありません。この先を回って言われた所に戻ります。その分はキャッシュバック(返金)しますから、どうかご勘弁ください」
そう平謝りして、どうにか許しを得ることができた。
こうした例などは、繁華街などのある営業エリアによっては少なからず起こりうる。苦情として通報されるかどうかは、紙一重だろう。
行き先を乗車時にきちんと聞かなかった筆者にも非がある。ただ、同僚たちからも「女性客はタクシーの接客対応にナーバスであることが少なくない」と聞かされる。
これだけ聞くとあたかも女性が悪いかのような印象を持たれるかもしれないが、別の見方をすることができる。