EVシフトで揺れる「金型産業」 下請構造と高齢化が招く消えゆく技術――再生の可能性はあるのか?
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日本製造業の基盤を支える金型産業が危機に直面している。2025年1~9月期だけで126件が倒産・廃業。下請構造や人材高齢化、海外内製化の影響により、国内産業の競争力は低下し、再生には設計段階からの連携と新たな産業構造の構築が不可欠である。
高齢化が促す淘汰

もうひとつの構造的要因が人材の高齢化である。金型職人の平均年齢は50代後半とされ、若年層の新規参入は極端に少ない。技術伝承の現場では「手取り足取り教えられる余裕がない」という声が多く、技能が暗黙知のまま途絶していく。
一方で、デジタル化・自動化への対応は進んでいない。
「工作機械や設計ソフトの高額化」
により、投資余力が乏しい中小企業では最新技術の導入が困難。結果、熟練者の勘と経験に依存する体質が温存され、労働生産性は上がらない。経営者の高齢化が進むなかで
「事業承継の候補がいない」
「M&Aを検討しても引き受け先がない」
という声が目立つ。これが休廃業の急増につながっている。
金型産業を直撃しているのが、
「自動車産業の変化」
だ。電動化の進展によって、従来のエンジン関連部品の金型需要が減少。1台あたりに必要な金型の点数も減り、電気自動車(EV)専用プラットフォームでは部品一体化の流れが進む。加えて、
・半導体不足による新車開発の遅れ
・世界的な生産最適化の波
が金型需要を押し下げている。
自動車メーカー各社は、海外拠点での金型内製化を進め、国内発注を抑制。その結果、国内金型産業の取引総額は減少した。この
「脱国産化」
の潮流は、単なる景気循環ではなく、構造転換そのものである。