「デカ過ぎ」「すぐ壊れる」 “アメ車叩き”はなぜネットで盛り上がるのか?――戦後「米国コンプレックス」と地続き? 天才学者の視点からひも解く

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日本で輸入車33万台のうち、アメ車シェアはわずか4%にとどまる。燃費や維持費だけでは説明できず、戦後の米国支配や心理的依存が過剰批判や無関心を生む。消費者行動を読み解く鍵は、歴史と文化に根ざした心理構造にある。

社会科学の巨人像

『評伝 小室直樹(上):学問と酒と猫を愛した過激な天才』(画像:ミネルヴァ書房)
『評伝 小室直樹(上):学問と酒と猫を愛した過激な天才』(画像:ミネルヴァ書房)

 小室直樹(1932~2010年)は、日本の社会学者であり経済学者、評論家として幅広い分野を統合的に研究した。東京工業大学世界文明センター特任教授や現代政治研究所所長を務めた。数学や心理学、政治学、宗教学、法学などを第一人者から学び、社会科学の統合に取り組んだ。また、東京大学で自主ゼミ「小室ゼミ」を主宰し、多くの研究者を輩出した。2018年には『評伝 小室直樹:学問と酒と猫を愛した過激な天才』という書籍も出ている。

 東京府荏原郡玉川村(現・東京都世田谷区)に私生児として生まれ、父の死後は母の故郷である福島県会津柳津町に移った。幼少期は軍国少年として育ち、敗戦体験が学問志向の原点となった。福島県立会津高校を経て京都大学理学部に進学し、当初は理論物理を志したが、成績の関係で数学科に転向した。その後、経済学への関心を深め、大阪大学大学院で理論経済学を学んだ。フルブライト奨学生として米国に留学し、ハーバード大学では心理学や社会学、社会心理学を学び、社会科学の理論化に取り組んだ。

 帰国後は東京大学大学院で政治学を学び、丸山眞男や中根千枝、川島武宜に師事した。1967(昭和42)年に始めた小室ゼミでは、年齢や専攻を問わず幅広い学問を無償で教授し、橋爪大三郎や宮台真司など多くの研究者を育てた。1976年刊行の『危機の構造』で学問的評価を得、1980年刊行の『ソビエト帝国の崩壊』で評論家としても名を馳せた。この著作では、ソ連官僚制やマルクス主義を宗教に例え、ソ連崩壊を予見したことで高い評価を受けた。

 小室は学問だけでなく、テレビ出演や評論活動でも知られ、1970年代には田中角栄の擁護発言で世間を騒がせるなど、奇人としての一面もあった。研究姿勢は徹底しており、速読と精読を駆使して幅広い知識を蓄え、社会現象や近代資本主義、日本文化の構造を分析した。晩年は東京工業大学世界文明センターで教授を務め、2010(平成22)年に心不全で死去。生涯を通じて学問の正統性と社会科学の統合を追求した人物である。

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