コロナ・戦争・政治に包囲された「輸送用機械産業」 四半期決算で回復できるのか?
運輸・輸送用機械産業の回復は見込まれるか。現在、海外経済の回復や世界的な半導体不足などにより、ボトルネックが警戒されている。
為替レート変動で業績修正される可能性も

なお3月短観の収益計画では、企業の想定為替レートも公表されることから、業種別の想定為替レートも今後の業績見通し修正の可能性を読み解く手がかりとして注目したい。
表にて実際に本年度の想定為替レートを確認すると、大企業製造業における事業計画の前提となる想定為替レートはドル円で111.0円/ドル、ユーロ円で128.1円/ユーロとなっている。しかし、足元のドル円レートは120円台を大きく突破している。
中でも、製造業で足元のドル円レートよりも特に円高で今期の為替レートを想定しているのが「造船、重機、その他輸送用機械」の109.5円/ドル、「自動車」の109.8円/ドルとなっている。
なお、輸入依存度の高い「運輸・郵便」では円高でむしろ輸入燃料費負担減の恩恵を受ける企業も含まれており注意が必要だが、特に最も円安の恩恵を受けやすいと言われている輸送用機械が109円/ドル台と円高気味の想定をしていることに注目すべきだろう。
以上の結果を踏まえれば、今後はコロナの感染状況やウクライナ戦争の動向、さらには各国の政治動向などに伴うリスクオフ(安全資産に向かう動き)を通じて、各国中銀がこれまでよりも金融引き締めに後ろ向きな姿勢を示すなどして、為替レートの水準が円高方向に戻りさえしなければ、こうした今期の為替レートを円高方向に想定している輸送用機械に属する企業を中心に今期業績が修正される可能性があることにも注目すべきだろう。