日産「稼働率100%」は達成できるのか? 自動車工場の「数字のトリック」──販売台数・サプライチェーンの変動が隠す“本当の生産能力”とは
日産の経営再建計画が示す工場稼働率の改善目標は、2024年度70%から2027年度に100%へ。だが稼働率は単なる生産効率指標に留まらず、需要変動、技術革新、雇用問題、地域経済の影響など多層的な課題を映し出す。産業構造の再編を見据え、稼働率の背後に潜む真実を読み解くことが今後の自動車業界の命運を左右する。
基本定義と算出方法

稼働率とは、工場の生産能力に対する実際の稼働割合を示す指標である。その計算式は次のとおりだ。
「稼働率(%)= 実際の生産台数 ÷ 生産能力台数 × 100」
例えば、年間20万台の生産能力を持つ工場で、実際に16万台を生産した場合、稼働率は80%となる。
「稼働率(80%)= 16万台 ÷ 20万台 × 100」
ただし、ここで注意すべき点がある。生産能力という言葉には、統一された定量的な定義が存在しない。
自動車業界の品質マネジメント規格「IATF16949」では、生産能力を「Run@Rate(ラン・アット・レート)」と定義している。これは、量産を想定した条件下で、一定時間内に連続稼働させた際の生産数量を指す。しかし、各社で
・1日の稼働時間
・月間の稼働日数
・勤務シフト体制
は異なる。加えて、生産台数は需給バランスによって変動する。したがって、稼働率や生産能力の数字を並べて比較しても、それだけで企業間の優劣を判断するのは適切ではない。