スズキ「フロンクス」勝利! 日産「キックス」失速の理由とは? 生い立ち似たSUV、命運はなぜ分かれた? 設計思想と市場タイミングが残酷なまでに分けた明暗とは

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海外生まれの逆輸入SUV、スズキ「フロンクス」と日産「キックス」。同じ土俵に立ちながら、販売結果は明暗を分けた。設計思想、導入戦略、市場との呼吸。似て非なる2台の軌跡は、単なるスペック比較を超え、日本市場が本当に求める「納得できる日常車」の条件を鮮やかに浮かび上がらせる。

コロナ禍と半導体の逆風連鎖

日産自動車のロゴマーク(画像:EPA=時事)
日産自動車のロゴマーク(画像:EPA=時事)

 キックスは2016年、リオデジャネイロで初めて発売された。その後、中国やカナダを経て、2018年には北米市場にも展開。2019年にはインド市場向け仕様が登場し、2020年にはタイで生産されたe-POWERモデルが誕生した。このモデルが、同年に日本市場へと導入された。

 ただし、ベースとなるキックス自体は2016年デビューの車種であり、設計起点の古さは否めなかった。タイで生産されたe-POWER仕様は新しかったが、モデル全体としての鮮度に欠けていた。結果として、新型車としての驚きや新しさを十分に伝えきれなかった。市場でも印象が薄く、新鮮味に乏しい存在となってしまった。

 導入時期も悪かった。2020年は世界的なコロナ禍のただなかにあり、イベントや試乗などリアルな訴求機会が失われた。消費者の生活防衛意識が高まるなかで、クルマへの関心そのものが後退し、話題づくりが難しい状況だった。

 さらに、2021年以降は半導体不足が深刻化。納車遅延やグレード選択の制限が相次ぎ、ただでさえ存在感の薄れつつあったキックスにとっては痛手となった。

 2022年にはマイナーチェンジが実施され、第二世代のe-POWERや、初の四輪駆動モデル「e-POWER 4WD」が追加された。それでも、車体設計の古さは拭いきれなかった。

・商品力
・導入タイミング
・市場環境

すべてがわずかに噛み合わず、キックスは人々に見過ごされる存在へと後退していった。

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