中国EV爆進を支える「日本の血税」 補助金は誰のために存在するのか? 迫る産業空洞化と国家戦略の欠陥とは

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日本のEV補助金政策が引き起こす波紋は、単なる国籍論争にとどまらず、製造業の競争力や経済戦略に深く関わる問題となっている。中国製EVが補助金を受ける現状に対し、政策の構造的矛盾が浮き彫りに。日本は今、どのような産業の未来を選択するのか。

形式的中立性の落とし穴

中国(画像:Pexels)
中国(画像:Pexels)

 なぜこのようなことが起きるのか。理由は明快である。EVはもはや単なる車両ではなく、電子機器と同様のサプライチェーン支配が明暗を分ける産業へと進化している。中国は上流のバッテリー素材から下流の完成車、さらには公共インフラに至るまで、国家を挙げて垂直統合を進めている。そのためBYDは、バッテリーのセル製造、組立、シャシー開発、電子制御システムまで内製可能であり、最終製品を競争価格で提供できる。

 一方、日本の自動車産業は、依然として水平分業を基礎とし、系列企業との関係に支えられている。トヨタのような大手企業でさえ、パワートレインやバッテリーを一から全て内製する体制は整っておらず、海外との共同開発や外注を活用しているのが現状だ。この構造的違いが、EV競争における価格差と商品性の差を生んでいる。

 ここで議論が

「日本のメーカーを守るために補助金を日本車に限定すべきか」

というナショナリズムの色彩を帯びた論点に移るのは早計だ。重要なのは、日本の補助金政策が、どの産業プレイヤーの成長を結果的に促す構造になっているかを冷静に見つめることだ。現行制度は、国籍を問わない

「形式的中立性」

を保ちつつも、価格競争力の高い中国勢の後押しになっているという事実を直視すべきだろう。

 米国や欧州連合(EU)は、ここで明確な選択をしている。米国はインフレ抑制法(IRA)によって、自国または友好国で製造されたEV・バッテリーのみを補助対象とする制限を設け、中国製品を排除している。EUも補助金支給にあたって、域内製造比率や供給網の信頼性を重視する政策を導入しつつある。

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