EVアンチは「自動車を語る資格なし」 元自動車エンジニア&エンジン愛好家の私がそう思うワケ
EVに否定的な「三つの意見」

EVに否定的な意見として、次の三つがよく挙げられる。
・環境に悪い
・航続距離が短く不便だ
・運転してもつまらない
しかし、これらはいずれも技術の進歩によって克服可能な課題だ。
EVが環境に悪いという意見は、主に製造時にかかる環境負荷を指摘しているが、この見方はEVの本質を誤解している。
エンジン車からEVへの移行は、主に化石燃料の消費を削減することを目的としている。各車両が燃料を消費するよりも、発電所で集中的にエネルギーを生産するほうが効率的だ。発電には依然として火力発電が使われており、CO2は排出される。しかし、火力発電の熱効率は50%以上に達しており、CO2回収技術の進展により環境負荷は確実に減少している。
また、EV製造時の環境負荷が高いといわれる理由は、モーターやバッテリーなどの電動走行部分にある。しかし、EVはエンジン車に比べて部品点数が約1万点減少しており、全体的に見ると環境負荷は低い。独フォルクスワーゲンの試算によれば、車の製造から廃車までに排出されるCO2量を1kmあたりに換算すると、ガソリン車の平均140gに対し、EVは119gとなっている。
どんな車でも環境負荷は避けられないが、EVは走行時のCO2排出がゼロで、その他の条件でも有利な点が多いことは確かだ。
航続距離が短く不便だという意見は、EVの根本的な課題である。しかし、現状ではエンジン車よりも1回のフル充電で走行できる距離が短いのは事実だ。それでも、初期のEVはフル充電で200~300km程度しか走行できなかったが、現在では同クラスでも400~500km走行可能な車種が増えている。技術の進歩によって、航続距離は確実に向上している。
また、1回の充電にかかる時間がガソリン車の給油よりも長いという点も批判されがちだが、EV先進国の中国では、最近では3~5分でフル充電が可能な車種も登場している。これには高出力の充電機器や、駆動用バッテリー自体を交換する方式が採用されており、充電インフラの進化とともに利便性は大きく改善されるだろう。
充電インフラ整備は自動車メーカーだけでなく、国家レベルでの取り組みも求められる。日本でもバッテリー交換式の実証実験が進んでおり、今後に期待できる。
運転してもつまらないという意見は個人の感じ方に過ぎないため、一概に批判することはできない。しかし、筆者の感覚では、EVの走行は決して退屈ではない。
EVモーターのトルクフルな加速は非常に鋭い。コンパクトカーのEVでも、以前運転していたスカイラインより発進加速が優れており、驚いた。確かにエンジン車特有のサウンドや振動は静かなEVにはないが、EVならではのストレートな加速に十分楽しみを感じる。