警察・消防より早かった! 八潮市「陥没事故」で見せた地元自動車企業の“初動対応”をもっと賞賛すべき理由

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埼玉県八潮市で発生したトラック転落事故で、秋葉自動車の社員たちが即座に現場に駆けつけ、二次災害を防ぐ迅速な対応を行った。公的機関の到着を待たず、自己判断で周囲の安全確保を図ったその行動は、企業の社会的責任を超えた「見えないインフラ」としての役割を果たし、地域全体の安全性を向上させた。

危機管理に不可欠な現場密着型判断

壊れた道路のイメージ(画像:写真AC)
壊れた道路のイメージ(画像:写真AC)

 もうひとつの重要な要素がある。それは、

「現場感覚」

に基づいた判断だ。陥没事故のようなケースでは、必ずしもマニュアルが存在するわけではない。公的機関の対応は制度化されているが、緊急時には現場の状況が予想外の展開を見せることも多い。

 このような状況下で、社員たちは、誰よりも早く「何をすべきか」を判断し、実行した。この判断は、日々現場で作業を行う者が持つ「経験知」によるものだろう。

 安全管理の専門家や行政機関が後から振り返れば、さまざまな分析が可能だろう。しかし、事故発生直後の混乱の中で適切な判断を下せるのは、普段から現場に密着している者だけである。

 社会には、公式には記録されないが、人々の安全や秩序を支えている「見えないインフラ」が存在する。

 例えば、地域の商店街が子どもたちを見守ることや、工事現場の作業員が通行人の安全に気を配ることが挙げられる。同社の行動も、こうした「見えないインフラ」としての役割を果たしたといえる。

 一般的にインフラは道路や鉄道、電力網などの物理的なものを指すことが多い。しかし、社会が円滑に機能するためには、人々の自主的な行動によって支えられている部分も少なくない。同社のような企業がこのような役割を果たすことで、社会全体の安全性が底上げされる。

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