「ベビーカーうざい」「車椅子うざい」 公共交通マナーで“ネットの声”が偏る理由! 高齢者が先導? 残念ですが大半は穏健な常識人でした
公共交通マナー問題は、ネット上での激しい炎上と偏った意見により、社会観を歪めることがある。しかし、実際の利用者の声は多様であり、過剰な反応は問題解決を妨げる要因にもなり得る。
ネット上の公共交通マナー問題

公共交通におけるマナー問題は、日常的に議論され、時にはネット上で激しい炎上を引き起こすこともある。優先席を譲らない行為や、混雑した車内でのリュックの扱い、イヤホンの音漏れといった問題は、SNS上で特定のエピソードが拡散されると瞬く間に「世間の怒り」として目立つようになる。
しかし、これらの声が本当に
「世間の総意」
を反映しているのか、疑問が残る。本稿では、ネット上での公共交通マナー炎上がいかにして少数の声によって形作られているのか、その背景を深掘りしていく。
数字が示す現実、発信者の極端な偏り

田中辰雄氏と浜屋敏氏の10万人大規模調査によると、ネット上の投稿の“約半数”は、わずか0.23%の人々によって書き込まれている(公共交通に限らず)。具体的には、
「435人に1人」
が過半数の意見を占有している計算になる。さらに、このなかで過激な発言をするのはさらに一部に過ぎず、田中氏によれば、炎上参加者は実に
「40万人に1人」
という割合にすぎない。いわば“はぐれメタル”のようなレアキャラなのだ(はぐれメタルは可愛いが)。さらに、米ワシントンポストの報告によれば、
「SNSユーザーの59%」
がニュースの元記事を読まずに、タイトルだけでコメントやリポストを行っていることが示されている(2016年調査)。海外での調査ではあるが、この傾向が、ネット炎上の議論の質を低下させる要因となっているといえる。つまり、元記事を読まずに
「タイトルだけで反応する」
ユーザーが、わずかな情報に基づいて感情的な意見を発信している。
これらのデータが示すのは、ネット炎上が社会全体の問題意識を反映しているのではなく、ごく一部の声が増幅されているだけだということだ。声高なレアキャラが騒いでいるだけなのである。