なぜ「通学定期券」はこんなに安いのか? 明治から続く教育政策、国の教育予算でカバーすべき?

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「通学定期券が安すぎる」と感じたことはないだろうか。この割引は明治時代から続く教育政策に基づいているが、その負担は今も鉄道会社が背負っている。通学定期券の割引分を誰が負担しているのか、そしてその解決策は何か。最近では神戸市が通学定期券代を全額補助する取り組みが注目されている。

神戸市が独自施策開始

通学定期券のイメージ(画像:写真AC)
通学定期券のイメージ(画像:写真AC)

 神戸市は、公費で通学定期券代を負担する自治体のひとつである。

 2024年9月から、神戸市に住む高校生などが市内の高校に通う際の通学定期券代を「全額補助(無料化)」することになった。

 また、2024年4月から8月までの期間には、通学定期券代のうち6万円(月平均1万2000円×補助対象期間の月数)を超える額の半分を補助している。

 神戸市外の高校に通う場合は、通学定期券代のうち年額14万4000円(月平均1万2000円×補助対象期間の月数)を超える額の半分を補助している(神戸市ウェブサイト。2024年11月15日更新)。

 いずれの場合も、定期券を購入し、その写真などを証拠として電子申請をすると、指定の口座に補助金が支払われる仕組みだ。

 この制度は神戸市独自のもので、通学定期券代の無料化は

「全国初」

の試みとなる。背景には、大阪府で高校の授業料が所得制限なしで完全無償化されたことがある。

 神戸市では世帯年収910万円以上の場合、高校の授業料は全額自己負担となるため、子育て世帯が大阪に流出し、地域の進学希望者が減少することを懸念し、今回の施策に踏み切ったという(『神戸市公式note』2024年5月23日付け)。

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