トヨタEV生産「3割縮小」でも、シフト速度が落ちただけ そもそも「直系サプライヤー」は生き残れるか? という根本疑問
EV市場の縮小と未来の展望

実は、体制変更をいち早く行ったのはかつて日産傘下にあったマレリ(旧カルソニックカンセイ)である。しかし、マレリは現在経営破綻を起こし、経営再建の真っ最中だ。
カルソニックカンセイは日産系の直系サプライヤーとして、長年カーエアコンやコンプレッサーを手がけてきたが、2017年に米投資ファンドのKKRに売却され、直接的な資本関係がなくなった。その後、2019年にイタリアのマニエッティ・マレリを買収し、経営統合を行い、現在のマレリが誕生した。
マレリは、日産向けだけでなくグローバルに部品を供給するメガサプライヤーとなり、EVシフトに対しても早期に開発資金を投入する動きを見せた。2021年には「eアクスル」という駆動系の部品供給能力を引き上げることを発表し、2025年に100万台規模を目指すなど、他の元直系サプライヤーよりもかなり動きが速かった。
しかし、マレリは日産向けの業績不振やコロナによる減産の影響で経営環境が悪化し、2022年にはついに1兆円の負債を抱えて経営破綻に追い込まれた。その結果、せっかく立ち上げたeアクスル事業も売却し、EVシフトに対応する前に経営が追いつかなかった。
現在、マレリは民事再生手続きによる経営再建中だが、資金難に陥っているとの情報もあり、EVシフトへの開発資金を捻出できる状況にはないと思われる。
直系サプライヤーの事業は、自動車メーカーの業績や事業計画に大きく依存する体質がある。しかし、トヨタやホンダは関係性を見直して依存体質を減らす動きをしている。サプライヤー側としては、事業減少による売り上げ減少のなかで将来の開発資金をやりくりしなければならず、マレリの“二の舞”になるサプライヤーが出てくる可能性がある。また、世界的なEVシフトにも陰りが見え始めており、今後数年でさらなる変革期を迎えるかもしれない。
なお9月6日、トヨタがEV生産を3割縮小することが明らかになった。しかし、2026年には150万台のEVを生産できる体制を維持する計画がある。トヨタはハイブリッド車やプラグインハイブリッド車の注力&強化に取り組みながら、EVの展開について再考する方針なのだろう。