「EV大型トラック」は普及するか? 最大航続距離500km、メルセデスベンツの革新的「eアクトロス600」を通して考える

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メルセデス・ベンツは2023年10月、EV大型トラック「eアクトロス600」を発表した。大手自動車メーカーにとって、商用車はEV戦略の中心に位置づけられるようになってきている。

EV市場の混沌

eアクトロス600(画像:メルセデス・ベンツ)
eアクトロス600(画像:メルセデス・ベンツ)

 2024年現在、一時は世界の自動車製造ビジネス界を席巻すると思われた電気自動車(EV)ビジネスが混沌としている。その背景には、EVビジネスを牽引してきた中国市場の減速がある。官民挙げてEVビジネスを強力に推進してきた欧州連合(EU)でも同様で、EV政策は混乱している。

 さらに4月上旬には、EV事業の最先端を走ってきた米テスラが、今後の極めて重要なモデルと位置付けていた2万5000ドル以下の低価格モデルの開発を断念したことが発表された。

 テスラが開発中止を決断したのは、このようなモデルの開発に多額の資金を投じても、短期的に十分な利益を上げることは不可能だという現実的な判断に基づくものだったとされている。これは自家用乗用車市場での話である。

 一方、EVを開発し、安定した販売事業の構築を目指す歴史ある大手自動車メーカーにとって、商用車はEV戦略の中心に位置づけられるようになった。最も効果的な省エネを実現する商用車は大型トラックである。

 ドイツのメルセデス・ベンツはこの分野をリードしており、2023年10月に発表した最新の大型トラック・eアクトロス600は、600kWhの大容量バッテリーを搭載。1回の充電で最大航続距離500kmを達成し、その実用性能の高さに大きな期待が寄せられている。

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