アニメが好きすぎて「聖地移住」 批判や問題点もあるが、研究者の私はやっぱり勧めたいワケ

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昨今話題の「聖地移住」。関連同人誌を発行する著者が、その本質に迫る。

移住者の「特別感」の変化

2023年刊行『聖地人~聖地巡礼のその先、聖地移住~』(画像:千葉郁太郎)
2023年刊行『聖地人~聖地巡礼のその先、聖地移住~』(画像:千葉郁太郎)

 二問目、三問目を続ける。

●聖地は旅行で行くから特別な場所なのであって、移住してしまえば特別な場所ではなくなってしまうのではないか。

 これは多くの移住者が口にしていたことだが、確かに正しい。聖地に来た新鮮さは、移住後少なくとも1か月くらいしか持たない。そのため、「聖地移住には憧れるが、聖地巡礼の特別感は失いたくない」と、あえて聖地巡礼にこだわるファンもいる。

 しかし、移住して数年、アニメキャラクターたちと同じ朝の空気を吸い、同じ日常を過ごすことにこの上ない幸福を感じるほど没頭しているファンもいる。両者を切りわけることは難しいが、それはその人の価値観の問題だ。移住にあたっては、自分がどちらの側にいるのかを冷静に考える必要がある。

●アニメが終わって熱が冷めたら、移住したことを後悔するのではないか。

 これは取材を始めた当初、筆者が最も懸念していたことのひとつだったが、取材を続けるうちに意外なことがわかった。広島県竹原市を舞台にした『たまゆら』は2016年にシリーズが終了した作品だ。筆者が取材で同市を訪れたのはそれから4年近くたった2020年だったが、移住者は終了後も後を絶たず、取材当時「もうすぐ10人になる」といわれていた。

 聖地巡礼ファンは、実写ドラマのファンに比べて“リピート率”が比較的高いという学術的な調査結果もある。例えば、2007(平成19)年にアニメ化された『らき☆すた』の聖地として有名な埼玉県久喜市の鷲宮神社は、17年たった今でも巡礼者が絶えない。もちろん、作品だけでなく、本当にその土地のファンになれるかどうかが最重要であることは間違いない。

 先ほど、移住者は「特別感」が薄れるといったのは、アニメに登場した場所を見たときの特別感のことであって、移住者のなかには、誰も知らない聖地の魅力を探し続け、元の住民以上に詳しくなる人もいる。

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