鉄道貨物の「コンテナ」はなぜ普及したのか? 知られざる実力と可能性とは

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鉄道貨物の存在感を回復させ、効率性を向上させた「コンテナ化」。その現在とは。

「規格化」コンテナが簡便輸送を可能に

側面と妻面が開くコンテナ(画像:JR貨物)
側面と妻面が開くコンテナ(画像:JR貨物)

 鉄道貨物だけではなく、海運でもトラック輸送でもコンテナは多く見られる。

 コンテナの特徴は「形が決まっている」ことだ。決まった形の箱型が、利便性を確かなものにしている。JRで現在主流になっているコンテナは12ft(3.7m)タイプのコンテナで、多くのコンテナ車ではこれが1両につき5個搭載されるようになっている。トラックにも搭載でき、街中を走るようなトラックは1個、高速道路などで長距離を走るトラックは2個搭載していることが多い。

 この規格化により、鉄道貨物輸送とトラック輸送を連携させることができ、また船舶での輸送にも対応している。

 例えば引っ越しの場合、側面と妻面の両方が開くコンテナ1個を使用し、路上でトラックに乗せたまま妻面を開いて家財の出し入れを行い、中間を鉄道で運ぶことで、効率よくローコストを実現できる。

 一方、工場から工場へという運び方では、側面が開くタイプではフォークリフトと相性がよく、妻面も開くタイプでは荷下ろしが簡単に行いやすいことも言える。トラックに乗せるにも適したものが、JRのコンテナである。

 もちろん、荷役の際にはコンテナ自体の移動もフォークリフトで行い、トラックから鉄道へ、その逆も簡単にできるようになっている。コンテナ化が鉄道貨物の存在感を回復させ、効率性を向上させた。

コンテナ輸送の現在

31フィートコンテナ(画像:JR貨物)
31フィートコンテナ(画像:JR貨物)

 現在は鉄道コンテナのサイズも多様化し、特殊なコンテナも登場している。20ft(6.1m)コンテナは大量輸送のために導入され、大型トラックの積載量をそのまま移行させられる31ft(9.4m)コンテナも登場した。冷凍・冷蔵のコンテナやタンクコンテナもある。

 海上輸送用のコンテナを運ぶための低い床の車体をもった車両もあり、海から陸へ、そのままトラックへということも可能になっている。現在、トラック業界では運転士不足が課題となっている。特に長距離トラックの運転は過酷さが問題となっており、鉄道貨物への移行が重要なものであると言われている。

 また「脱炭素」の流れから、環境負荷の高いトラック輸送から、負荷の低い鉄道貨物輸送が再注目されるようになっており、その状況からもコンテナ輸送は今後も可能性が広がっていくと考えられる。コンテナ輸送の大きなメリットは

・規格化
・それにともなう効率化
・速達化
・定時性

なのだ。

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