欧米主導“EVシフト”崩壊中! 日本は今こそ「ハイブリッド車」の魅力を見直すべきだ【リレー連載】ハイブリッド・ア・ゴーゴー!(1)

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欧米主導の急進的EVシフトが風前のともしびとなり、再びハイブリッド車に注目が集まっている。本連載では、ハイブリッド車の進化と市場の変化をわかりやすく紹介。その魅力が今後の持続可能なモビリティにどうつながっていくのか、データを交えて解説する。なお、連載名の元ネタは、1965年から1966年まで放送されていた米音楽バラエティー番組「ハリウッド・ア・ゴーゴー」である。

実は販売台数が伸び続けているHV

HVのイメージ(画像:写真AC)
HVのイメージ(画像:写真AC)

 欧州を中心に電気自動車(EV)化が騒がれているなかで、実はハイブリッド車(HV)の販売台数が伸びている。HVとは、内燃機関と電気モーターなど、異なるエネルギー源を組み合わせた自動車を指す。燃費や走行性能を向上させながら、環境負荷を低減することができる。電気モーターのみで低速走行が可能な「EVモード」を搭載したモデルもある。

 日本自動車販売協会連合会の集計によると、2023年1~12月の燃料別台数(乗用車)は、次のような結果だった。HVとEVのほか、ガソリン車、プラグインハイブリッド車(PHV)、ディーゼル、燃料電池車(FCV)、その他のデータが記されている。

・ガソリン車:94万8445台(35.8%)
・HV:146万0133台(55.1%)
・PHV:5万2143台(1.9%)
・ディーゼル:14万6164台(5.5%)
・EV:4万3991台(1.7%)
・FCV:422台
・その他:99台

日本国内における燃料別販売台数(乗用車)のうち、2023年に初めてHVが構成比50%を超えたのだ。今や購入される新車の2台に1台がHVなのだ。

 続いて、HVの販売台数を時系列でみてみよう。

・2019年:109万8704台(39.1%)
・2020年:92万0275台(37.1%)
・2021年:102万7104台(42.8%)
・2022年:108万9077台(49.0%)
・2023年:146万0133台(55.1%)

 このように、年によっては新型コロナウイルス感染拡大の影響があるものの、年々HVの販売台数が伸びており、2022年にガソリン車(42.3%)と逆転し今にいたっている。HVの売れ行きがガソリン車を上回ったのは、

・自動車税の減税といった税制優遇
・2020年を底に高騰を続けているガソリン価格の影響

が強い。

 ちなみに、ドイツにおける2023年の乗用車の新車登録実績の構成比をみてみよう。

・ガソリン車:34.5%
・HV:29.5%
・EV:18.4%
・ディーゼル:17.1%
・PHV:6.2%

 ドイツでは、ガソリン車とディーゼル車の合計が50%を超えており、依然として内燃機関の人気が高い。また、さすが欧州だけあってEVの構成比が日本より高いものの、

「実はHVの方が売れている」

ことがわかる。税制や補助金の影響は否定できないが、それでもHVは健闘しているといってもよい。

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