「EV全振り」しない日本車メーカーは正しかった! だからといって“EV叩き”も筋違い、自動車市場の競争は「政治戦」である

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日本車メーカーにとって、EVに全振りするよりも、HVも含めた多様な選択肢を用意することが最適解だ。

「対立者をディスらない姿勢」が大事

ホワイトハウス(画像:写真AC)
ホワイトハウス(画像:写真AC)

 全方位の選択肢を残すトヨタが、直近ではHVを売りまくって、二酸化炭素排出量削減に大きく貢献しているにもかかわらず、EV原理主義の立場から一方的な批判にさらされている。

 しかし、唯一の選択肢以外は認めないという態度をとり続ければ、経済的、政治的、その他の事情でその唯一の選択肢をとることができない状況に陥ったとき、気候変動対策の必要性を否定し始めることにならないだろうか。

 HVの復権に関する海外メディア・ビジネスインサイダーの記事「アメリカの消費者はEVよりもハイブリッド車を求めている」に、あるアナリストの次のような印象的な発言があった。

「(関係者は)HVのメリットや、将来的によりクリーンな環境にするためのギャップをいかにして埋めるのかについてはちゃんとした議論を避けていたようだ。それに関してホンダとトヨタ以外、みんな何を考えていたのだろうか」

 EVへの移行を唯一の正義として、それに同調しない人を悪として押し込めば押し込むほど、最初の段階では「彼らは悪」「私たちは善」を分ける特権意識で熱狂を得られるかもしれないが、そこから先は世界の半分がどんどん敵になっていく。

 そして、気候変動対策はインテリがでっち上げた陰謀だと強く信じている人たちが世界に何億人もいれば、気候変動対策を円滑に実施するのはさらに難しくなる。だからこそ、対立者をディスらない姿勢で

「確かに、エンジン車は魅力的ですよね。私も大好きです。でも、これからはエコも大事ですし、HVから始めてみてはどうですか。停止状態からの加速はEVのよさを存分に味わえますし、なかなか悪くないって感じになりますよ。気に入ったら、ぜひ純粋なEVに試乗してみてください」

という態度をとり続けるプレーヤーがいることは、人類全体のレベルで気候変動対策を本当に実行したいのであれば、むしろ非常に重要である。

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