「オスプレイを防災ヘリに」 12月の沖縄県議“つよつよ発言”に見る、無知よりコワいその軽さ
事実上唯一の候補は「AW609」

一方で、救難任務に適した民間ティルト・ローター機としては、レオナルド社がAW609型の型式証明を連邦航空局(FAA)に申請中である。
AW609は既にフィラデルフィアの工場で最初の量産機も飛行しており、FAAとレオナルド社による作業が進んでいるところである。
AW609は最大重量が約7.6tの機体で、約24tというオスプレイよりも格段に小型なのに加え、オスプレイで起きた誤操作も起きない操縦システム設計が採用されている。もし沖縄の防災ヘリとしてティルト・ローター機を検討するなら、このAW609が事実上唯一の候補であり、よりによってオスプレイを持ち出すような話ではない。
又吉県議が防災ヘリについて真面目に考えていれば、オスプレイではなくAW609の名前が出てくるはずで、彼の発言が
「単なる思い付き」
なのは明らかだ。
大阪府知事の大言壮語

政治家によるこうした思い付きの発言は、沖縄だけで見られるわけではない。大阪府の吉村洋文知事は2023年8月の関西コレクションに登壇した際、「万博の時は、自転車のように空飛ぶクルマがグルグル回る」と発言して、世間からは
「できもしない大風呂敷を広げている」
と冷ややかな視線を浴びていた。
運航を予定しているANAホールディングスの芝田浩二社長は、12月になって
「お客さまを乗せて万博会場をぐるぐる(商用)飛行できるかというと厳しい」
と述べ、吉村知事の大言壮語は完全にはしごを外された形である。
これも、大阪万博で「空飛ぶクルマ」(eVTOL)が自転車のように飛び回ることなど、あり得ないことは最初からわかっている。
eVTOLにも従来型の航空機同様に耐空証明(型式証明)が必要だが、その審査基準も現在策定中の段階で、正式に証明を取得した機体は存在しない。更に、客を乗せて商用運航するとなると、より厳しい安全基準の適用や、運航者に対する認可など、その後に控えたハードルも越えなければいけない。
仮に大阪万博までにFAAの耐空証明が間に合う機種があったとしても、それを日本で商用運航できる見通しは、
「まったくない」
といっていい。