トヨタ純利益過去最高の3.9兆円も、決算発表資料に見えた「いくつかの矛盾」
トヨタが公表した決算発表資料には、決算期(2023年4~9月)の地域別販売台数と所在地別営業利益が掲載されている。これらの数字を比較・分析すると、いくつかの矛盾が見えてくる。
求められる収益構造の転換
全体の6割を稼ぎ出す日本の生産について、今日の生産量を確保するための課題を考えた。先の決算資料によると、トヨタとレクサスの通期生産見通しは、
・国内生産:334万台
・海外生産:676万台
の合計1010万台である。国内生産は今後の人口減少により、
・国内市場の縮小
・労働力不足
・物流問題
といったリスクが挙げられている。さらに輸出についても
・世界的な輸送能力の制約
・EV輸送における火災リスク
などがあり、日本の収益力が長期的に低下する可能性は避けられず、現在の日本中心の収益構造からの転換が不可欠である。
しかし、トヨタを頂点とする日本のサプライチェーンは多様であり、トヨタには日本の屋台骨である自動車産業を支え続ける責任がある。
このまま円安が続けば利益が出るという楽観論に甘んじることなく、上記の課題を踏まえた上で、日本では一定の生産量を確保しなければならない。一方、販売はどうなるのか。