トヨタ純利益過去最高の3.9兆円も、決算発表資料に見えた「いくつかの矛盾」

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トヨタが公表した決算発表資料には、決算期(2023年4~9月)の地域別販売台数と所在地別営業利益が掲載されている。これらの数字を比較・分析すると、いくつかの矛盾が見えてくる。

注目の成長市場

成長株のインド(画像:写真AC)
成長株のインド(画像:写真AC)

 グローバルサウスのなかでは、インドが成長株である。2022年、インドの自動車市場は中国、米国に次いで世界第3位に成長し、年末には総人口も世界一になると予想されている。

 インド政府は、2030年までに乗用車新車販売の30%をEVとする目標を掲げている。そのため、トヨタはインドでのEVシフトを積極的に推進する必要があり、販売強化も喫緊の課題となっている。

 また、タイも有望で、タイ政府は国内市場でEVを積極的に推進し、海外からEV生産工場を誘致している。

 11月上旬には、東南アジア諸国連合(ASEAN)地域のトヨタ幹部がタイのセター首相を表敬訪問したと報じられている。これは、ASEAN地域の自動車生産拠点としてタイでの生産拡大を視野に入れ、タイ政府との連携を模索する動きと見られる。

 これまで見てきたように、今後トヨタが日本のトップ企業として純利益を維持するためには、日本での生産を現状維持しつつ、グローバルサウスへの販売拡大と生産シフトを円滑に進める必要がある。

 EVシフトの加速という喫緊の課題とともに、これらの課題にも早急に取り組まなければならない。トヨタは4億円の純利益に満足することなく、冷静に将来を見据えながら、さまざまな課題に取り組む企業努力が求められる。

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