クルマ点検時、ディーラーがやたらと「メンテナンスパック」を勧めてくる理由

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ディーラーにクルマを点検整備に出したとき、メンテナンスパックを勧められたことはないだろうか。そのメリット・デメリットとは。

ディーラー目線の販売メリット・デメリット

自動車ディーラーのイメージ(画像:写真AC)
自動車ディーラーのイメージ(画像:写真AC)

 一方、メンテナンスパックを販売するディーラー側には、どのようなメリット・デメリットがあるのだろうか。まずはメリットから。

●ユーザーを囲い込める
 これが最も大きなメリットである。一度販売店を訪れたユーザーが、定期的に販売店に足を運んでくれることは、ディーラーにとってメリットしかない。他店に顧客を奪われる心配がなくなるからだ。

●販売計画が立てやすい
 メンテナンスパックを購入したユーザーは、定期的に整備に来店する。当月・翌月に入庫するメンテナンスパックユーザーは基本的に販売対象となるため、販売計画が立てやすくなる。

●ユーザーと定期的に接点を持つことで、売り上げを横に広げられる
 半年に一度でもユーザーとの接点があるのは魅力的だ。営業的には、入庫時に簡単な査定を行い、新車を提案することも可能だ。クルマを買わなくても、クルマを整備してもらったり、ケミカル商品を買ってもらったりして、売り上げを伸ばすことができる。良好な関係を築けば、自動車保険に加入してもらえる。これは、囲い込みと同時に売り上げの向上を狙えるのだ。

●報奨金がもらえる
 メンテナンスパックを販売するセールスおよびサービスフロントのスタッフには、獲得ごとに報酬が与えられる。販売目標も掲げられているのでみんな必死だ。報奨金は単体だと微々たるものだが、何件も販売できれば給与へダイレクトに反映される。

 次にデメリット。

●整備売り上げが減少する
 メンテナンスパックは、単発で入庫してもらうより安い料金設定になっている。そのため、パックを販売したユーザーが入庫するたびに、1台あたりの売上単価が下がることは否めない。それでもメンテナンスパックを販売し続けなければならないのは、整備以外の売り上げが見込めるからである。

●提案時は基本的に断られる
 メンテナンスパックに限らず、他の商品も提案してもすぐに買ってもらえるとは限らない。前述したようにまとまった金額が必要なので、数千円のケミカル商品を売るような簡単な営業はできない。基本的に断られることを前提に提案しなければならないので、メンタルが弱いスタッフにとっては非常に厳しいだろう。

 このように、ユーザー側とディーラー側、それぞれの立場からメリットとデメリットがあるのは明らかだ。使い方によっては割安に感じられる商品と受け取れるので、自身のカーライフがどのようなものかを振り返ってから検討することをお勧めする。

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