ダブル連結トラック急増「3年半で15倍」 物流緩和に大きな期待も、立ちふさがる“SA・PA整備遅れ”という厳しい現実
「ダブル連結トラック」に関する規制が2022年11月、緩和され、運行可能区間が約5140kmとなった。2024年問題控え、今後広まるか。
課せられた諸条件

ダブル連結トラックの具体的なスペックは、従来型のトラックはどのくらい違うのだろうか。単純な比較でも運用効果が上がる理由はわかる。
まず従来型の大型トラックの全長は約12m、最大積載量は13tである。それに対して全長25m規格のダブル連結トラックの最大積載量は25.9tとなる。この数字はけん引するトレーラーの架装内容で多少は変わってくるが、おおむね通常の大型トラック2台分ということだ。1台分の人的コストと燃料その他のコストで、
「2台分の貨物」
を輸送できる。まさしく規制緩和としては見事に成功した事例といってよいだろう。
ただしその普及が順調に増えているというわけではない。その背景にあるのは、運行が許可される上での
「諸条件」
がそれなりに厳しいという点にある。
まず、車両はけん引側のトラックもトレーラーもバンボディ(荷台部分がアルミ製の箱型になっているトラック)でなければいけない。
通行する区間において、許可されている高規格の高速道路以外の走行区間を最小限に抑えた運行ルートを設定しなければいけない。使用する車両には、16項目もの安全装備をメインとした装置が必須となる。
また、ドライバーは大型車およびけん引車の運転経歴がいずれも5年以上であることに加え、規定の安全教育訓練が必要となる。ドライバーの運転経歴は3年以上でも許可されるが、その場合は規定訓練時間が大幅に長くなる。