トヨタ株主総会 米助言会社が「豊田章男会長」選任に反対推奨した本当の理由 賛成率11ポイント減少の裏側とは

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6月14日に実施されたトヨタの株主総会で、異変が起こった。同社会長の豊田章男氏の取締役再任への賛成率が84.57%と、前年の95.58%から大きく低下したのだ。その背景には何があるのか。

欧州の機関投資家が株主提案

「Toyota Views on Climate Public Policies 2022」(画像:トヨタ自動車)
「Toyota Views on Climate Public Policies 2022」(画像:トヨタ自動車)

 今回の株主総会でもうひとつ注目されたのが、欧州の機関投資家3社、デンマークの年金基金、ノルウェーおよびオランダのアセットマネジメント会社)から共同で株主提案が出されたことだ。

 第4号議案、定款の一部変更の件として、「気候変動関連の渉外活動が及ぼす当社への影響とパリ協定との整合性に関する評価および年次報告書の作成」が挙げられている。これは、トヨタに対して、気候変動関連の報告書作成を定款に記載することを求めるものだ。

 共同提案者は、2022年12月にトヨタが「Toyota Views on Climate Public Policies(気候公共政策に対するトヨタの見解) 2022」と題する気候変動関連の渉外活動の報告書を出していることを知っていて、その報告書は高く評価した上で、なお不十分としている。より充実した報告書を作成することで、顧客・取引先・従業員および投資家の反発を招くリスクを低減させ、株主価値を高めるという立場だ。

 こうした環境関連の株主提案は、これまでも環境団体や非政府組織(NGO)から出されることがあったが、近年はこうした提案が年金基金や資産運用会社から出されるようになっている。責任投資を求める、時代の流れに対応する動きと考えられる。

 トヨタ経営陣は、環境関連情報の開示の重要性は理解し、積極的に開示拡充をはかっているものの、定款に記載すべきことではないとして、この提案に反対を表明した。総会での賛成率は

「15.06%」

にとどまり、この提案は否決された。

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