トヨタ株主総会 米助言会社が「豊田章男会長」選任に反対推奨した本当の理由 賛成率11ポイント減少の裏側とは
6月14日に実施されたトヨタの株主総会で、異変が起こった。同社会長の豊田章男氏の取締役再任への賛成率が84.57%と、前年の95.58%から大きく低下したのだ。その背景には何があるのか。
加州基金も反対表明

豊田会長の再任に、米国最大の公的年金基金である加州(カリフォルニア州)職員退職年金基金(以下、加州基金)は、反対票を投じたと公表している。取締役会の独立性を問題としているが、その理由にも疑問符が付く。
カリフォルニア州は全米のなかでもっとも環境規制が厳しく、独自のZEV規制(ゼロエミッション車規制)を有する。そのカリフォルニア州の公的年金の運用を受託する基金として、ガソリン車トップメーカーのトヨタ議案に、なんらかの形で反対を表明する必要があったのではないか。
加州基金は2023年だけでなく、2022年の株主総会でも豊田章男氏などの再任に反対票を投じている。ということは、加州基金はグラスルイスの助言で反対投票したのではなく、むしろ逆と考えられる。
あくまでも推測であるが、加州基金の反対投票が、グラスルイスの助言に影響したのではないだろうか。加州基金は「モノ言う株主」としてグローバルなオピニオンリーダーであり、グラスルイスはそこを考慮したのではないか。
筆者は、加州基金の反対投票は
「重要な矛盾」
を含んでいると考える。
もし、同基金の意見が通り、豊田会長の再任が否決されたらどうなるか。優れたリーダーを失うことを嫌気して、トヨタ株は急落するだろう。トヨタ株を保有し続ける加州基金がトヨタ株の株価急落を招くような議決権行使をすることは、矛盾を含んでいる。