ヨーロッパの「鉄道ダイヤ」作成、難易度がどんどん上がっている深刻理由

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ダイヤ改正は、鉄道会社にとって1年のなかで最も重要なイベントだ。ヨーロッパでの作成において、最も苦労するのは何か。

日本とヨーロッパの違い

パリ・リヨン駅に並ぶフランスのTGV(左)とイタリアのフレッチャロッサ(右)。ダイヤが過密になると、その調整に苦慮することになる(画像:橋爪智之)
パリ・リヨン駅に並ぶフランスのTGV(左)とイタリアのフレッチャロッサ(右)。ダイヤが過密になると、その調整に苦慮することになる(画像:橋爪智之)

 ダイヤ改正で列車が廃止される場合、日本の場合は廃止された翌日に車両の返却回送が行われるパターンが多い。

 つまり、上り下りの双方向とも最終日まできちんと運行して、ダイヤが改正してから、その車両が所属している車庫まで回送列車が運行される。その逆に、列車が新設される場合は、ダイヤ改正の前日に始発駅へ送り込み回送が行われ、ダイヤ改正当日にはそれぞれの起終点から一番列車が運行される。

 ヨーロッパの場合、必ずしもこのパターンに当てはまらず、列車の廃止に関しては、ダイヤ改正の前日に車両の所属車庫がある列車が先に廃止され、最終日はその車両の返却回送を兼ねた最終列車が運行されることが多い。同様に新設される列車も、一番列車が車両の所属国側から一番列車として出発し、その車両が翌日の逆方向への一番列車として運行されることになる。

 理由としては、国際列車の場合は他国の事情が絡んでくるため、ダイヤが改正された後(あるいは前)に車両だけを回送させることは乗り入れ相手国のダイヤにも影響を与えることになる。そのため、極力避けていると考えるのが自然だろう。

オープンアクセスによる変化

ミラノ発パリ行き高速列車フレッチャロッサの運行開始1番列車。パリ発ミラノ行きも初日から同時に運行された(画像:橋爪智之)
ミラノ発パリ行き高速列車フレッチャロッサの運行開始1番列車。パリ発ミラノ行きも初日から同時に運行された(画像:橋爪智之)

 ただしこの考え方は、オープンアクセス(列車の運行とインフラをわけて、インフラ部分を別の会社が持つこと)によって薄れつつある。

 というのも、かつては国境を境に相手国の乗務員に交代するなど、車両のみならず乗務員も明確に分業されていたが、オープンアクセスによってどちらか片方の乗務員が全区間を直通し、車両も通過国の寄せ集めではなくひとつの国がすべてを管理する、という形に落ち着いている。

 なかには、高速列車フレッチャロッサのフランスへの乗り入れに際して、運行会社トレニタリアがフランスに子会社を設立したように、列車運行に先駆けて、相手国側に運用上の拠点を設けた例もある。

 環境に優しい交通機関として、近年は再び鉄道が脚光を集め、各国で列車の新設が相次いでいるが、それとともに問題となっているのが、キャパシティー不足にともなう列車の遅延だ。鉄道業界の活況は素晴らしいことだが、洋の東西を問わず、ダイヤを作成する「スジ屋」は頭を悩ませることになるのだろう。

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