自動車運搬船を一気にLNG化 日本郵船、脱炭素へハイジャンプ 背景に荷主の変化
日本郵船がLNG焚きの巨大な自動車運搬船を一気に12隻発注し、20隻体制とする。投資額は2000億円を超え、物流の脱炭素へ向け大きく飛躍する格好だ。その背景には荷主の意識変化もある。
日本の自動車メーカーもようやく気にし出した?

このような自動車運搬船におけるLNG化の流れは、荷主である自動車メーカーからの要請でもある。
サプライヤーだけでなく、物流全体のCO2削減を促す動きはこれまで欧州のメーカーがさかんに方針を主張していたという。すでに欧州では、自動車運搬船がLNG焚きであることを発注の条件としているメーカーもあるほどだ。しかし、ここへきて「日本メーカーもかなり関心を高めている」のだとか。
「欧州系メーカーは2、3年前からでしたが、日本メーカーは菅首相が『2050年に(排出CO2)ゼロ』と発表してから、どんどん盛り上がってきています。自動車メーカーそのものは以前から(脱炭素に向けた取り組みを進めて)いたものの、物流全体での削減はあまり考えていなかったでしょう。しかし今は、物流からクルマの引退まで、アセスメント全体を見ています」(曽我氏)
ただ、日本郵船は前述の通り、LNGを通過点と捉え、その先に水素やアンモニアといった別の燃料を見ている。なかでもアンモニアについて、保管と運搬の面でより利便性が高いと考えているという。LNG船の建造と並行して、アンモニアの輸送タンクや、アンモニアを活用するエンジン、そして保管の方法などの開発を同時に進めていく構えだ。
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