自動車運搬船を一気にLNG化 日本郵船、脱炭素へハイジャンプ 背景に荷主の変化

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日本郵船がLNG焚きの巨大な自動車運搬船を一気に12隻発注し、20隻体制とする。投資額は2000億円を超え、物流の脱炭素へ向け大きく飛躍する格好だ。その背景には荷主の意識変化もある。

12隻を国内造船所に発注 投資額2000億円超え

日本郵船のLNG焚き自動車運搬船「サクラリーダー」(画像:日本郵船)。
日本郵船のLNG焚き自動車運搬船「サクラリーダー」(画像:日本郵船)。

 日本郵船は2021年6月15日(火)、新来島どっくおよび日本シップヤードと覚書を締結したと発表した。内容は、LNG(液化天然ガス)を主燃料とする自動車専用船の建造を、それぞれ6隻ずつ発注するというものだ。

 完成車の輸送を担う自動車運搬船は、乗用車にして7000台を収容するものもあるほど巨大なもの。これをLNG船とすることで、従来の重油焚き船と比べて約40%のCO2(二酸化炭素)排出量削減(輸送単位当たり)が見込まれるという。

 すでに日本郵船は2024年までにLNG自動車運搬船8隻の投入を決めている。今回の12隻を加え、2028年度には保有する自動車運搬船の半分にあたる計20隻が置き換わる見込み。投資額は合計で2000億円を超える。

 もう20隻も全面的にLNG船に置き換える計画を打ち出してはいるものの、LNG船は将来のゼロエミッション船を実現するまでの「ブリッジソリューション」のひとつだという。2030年頃からは、水素やアンモニアなど、より環境負荷の低い船舶用燃料を用いたゼロエミッション船の投入を目指すとしている。

 また、これまで日本郵船のLNG船は中国などの造船所に発注されていたが、今回の12隻は日本の造船所が選ばれた。

 オンラインで記者会見を行った日本郵船の長澤仁志社長、ならびに専務執行役員で自動車輸送本部長の曽我貴也氏によると、中国などと比べて船価に違いがあることは認めたうえで、「ロットでオーダーすることにより造船所もコスト削減ができるようになる。造船所と原価低減を図り、ともに競争力をつけていく」という。

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