大雪降ったら「EV大丈夫かよ」問題 一酸化炭素中毒は回避可能も、トータルでどうなのか

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日本列島では冬、大雪によって各地で交通渋滞が発生する事態がしばしば起きる。そんな時、EV車は大丈夫なのか?

カギは充電設備

鍵は充電設備?(画像:写真AC)
鍵は充電設備?(画像:写真AC)

 とはいえ、寒冷地でEV車の利用が難しいわけではない。寒冷地でありEV車に向かないはずのノルウェーでは普及が著しく、販売される新車の多くがEV車となっている。2021年に販売された新車の65%はEV車だ。日本でもEV車が話題になっているものの、まだ販売比率では1%なのに比べると圧倒的な普及度だ。

 この背景には、政府による優遇策と共に、充電設備の整備が進んでいることが大きい。ノルウェーは寒冷地であるため、ガソリン車でもエンジンオイルが固まらないためのブロックヒーターが当たり前に付けられていた。そのため、個人の車庫から駐車場まで、ブロックヒーター用の電源コンセントが当たり前に設置されていた。このため、EV車の普及にあたっても充電設備の整備が他国よりも早く進んだのである。

 日本では、充電設備もまだ充実しているとは言い難いことが、寒冷地での使用を不安視させているというわけだ。とはいえ、寒冷地でもEV車の利用には熱い視線が送られている。

 北海道電力では、2020年に公表した「ほくでんグループ経営ビジョン2030」の中で、泊原発の再稼働や再生可能エネルギー電源の再開発で、非化石電源比率を6割以上とし、2030年にはCO2排出量を2013年度比で5割以上減らすとしている。その方法のひとつとしてEV車の普及を掲げているのである。北海道では、EV車を広大な土地での使用のみならず地域のモビリティとして活用する動きもある。そのため、道内企業でもEV車を寒冷地仕様にするための研究が進んでいる。

 つまり、現行では寒冷地でのEV車の使用は必ずしも効率的ではないものの、問題はいずれ解決するとみてよいだろう。実際、日本で普及しているEV車は四輪駆動ではないために雪道には向かないという見方もあったが、現行車の多くはFWD(前輪駆動)でも、スタッドレスタイヤであればアイスバーンやパウダースノーでも問題なく運転ができる実力を持っている。

 となると、残された問題は今回の大雪で見られたような、渋滞で長時間雪の中で動けなくなった場合の対策だろう。これは、充電可能なスタンドが充実すると共に、使用者が基本的な事項を守ることによって解決できると考えられる。以前からEV車を使用する際にはバッテリー残量は常に20%ほど残すことが注意事項として挙げられるが、寒冷地で使用する場合には、より多くの残量を常に確保しておくべきである。この、非常事態の備えはガソリン車で燃料の残量に注意するのと変わらない。

 不安視する向きもあるが、EV車は決して雪に弱いわけではなく、問題も日進月歩で解決されていることは知っておきたい。

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