山手線から「運転士が消える日」は本当に訪れるか? 障害物・運行対応で立ちふさがる高き壁、実証試験開始で考える
山手線ドライバレス運転への道

ドライバレス運転であるGoA3を目指すには、段階的に技術・ノウハウを蓄積していかなければならない。現在、実証実験中のGoA2で得た技術・ノウハウをGoA2.5、GoA3の実現に向けて改良していく必要がある。
現在、JR東日本がドライバレス運転の実現に向けて開発している技術として、車載カメラによる障害物検知装置や無線式列車制御システム(ATACS)が挙げられる。
車載カメラによる障害物検知装置は、車両に搭載されたステレオカメラで障害物を検知するシステムだ。自動運転では障害物を検知するシステムが欠かせない。車両の前部に設置されたカメラの映像を画像処理システムで解析し、障害物を検知できる仕組みとなっている。
ATACSとは、無線信号を使って前方列車との間隔を制御するシステムだ。従来のシステムは閉そく区間という信号によって区切られた区間に、ひとつの列車を進入させる方式をとっている。ひとつの閉そく区間にひとつの列車しか入れないため、どうしても列車同士の間隔は長くなってしまう。ATACSは閉そく区間で区切るのではなく、無線信号により間隔をコントロールするため、前方列車との距離を詰められる。自動運転の場合も、列車同士の間隔を自動でコントロールする必要があるため、この技術を活用することができる。
山手線は都市部を走行するため、線路内に障害物が進入する可能性が高い。したがって、障害物を検知するシステムの高性能化が求められる。また、列車同士の間隔も非常に短いため、列車同士の間隔を緻密に制御する必要がある。山手線ドライバレス運転の実現に向けては、これらの課題を解決しなければならない。
障害物検知装置やATACSの進化が進めば、ドライバレス運転の列車が走る日もそう遠くないはずだ。2022年は鉄道開業150周年の年である。150年間、日本全体で鉄道が止まった日は1日もない。運転士が鉄道を支え続けてきたのだ。たとえ、運転士の役割が終わる日が来たとしても、鉄道は走り続けるだろう。