色とりどりの「海上コンテナ」 カラーリングの違いにはこんな意味があった!
実は半分を占めるリースコンテナ

さて、冒頭に「コンテナは船会社所有が原則」と書いたが、近年は例外が増えている。その代表格といえるのが、リース会社が貸し出すリースコンテナであり、直近ではコンテナの半分近くがリースコンテナになっている。
コンテナは荷主の指示によって世界中に運ばれるが、使用後の空コンテナは、船会社が輸送することになる。コンテナを船会社が所有している場合、復路も同じ船会社で輸送するしかないが、リースコンテナであれば、リース会社に返却した後、他の船会社の輸送に転用することができる。従って、コンテナはリースで利用することによって大きなメリットが生じる。そのため、長期的にリースの割合が上昇しているのだ。
なお主要なリース会社はすべてグローバル企業だが、中でもTriton(バミューダ)、Textainer(同)、Florens(香港)の3社で5割以上のシェアを占めている。この3社のコンテナは、多くの人も見覚えがあるはずである。
地味なカラーリングのリースコンテナ

船会社はコンテナを広告媒体のように自社PRに利用しているが、リース会社の顧客は船会社であるため、自社の社名を積極的にPRする必要がない。
ましてや顧客である船会社を差し置いて目立つ主張をするのも得策ではない。リース会社のコンテナにも社名が記載されているが、あまり目立たない、地味な字体で表示されているものが多いのはそのような事情による。
カラーリングについても同様で、上記の3社とも地味な茶色のカラーリングだ。海上コンテナというと、地味な防さび塗料色のコンテナを思い浮かべる人が多いと思うが、これはほぼリースコンテナである。
なおコンテナに特殊なカラーリングを採用すると、補修の手間が増えるだけであり、効率性を追求した結果だとみることもできるだろう。港に行く機会があったら、このようなことを踏まえ、コンテナのデザインを比較すると、興味深く観察できる。