インバウンドと「日本の治安」は本当に共存できるのか? いまや4300万人時代! 「窃盗ツーリズム」報道で広がる排外主義、SNS時代に問われる防犯と共生のあり方
観光拡大の陰に潜む「窃盗ツーリズム」

訪日外国人旅行者が過去最多の4268万人に達した。日本政府は2030年に6000万人、訪日外国人旅行消費額15兆円を目標に掲げ、観光を日本経済の成長分野として位置づけている。
観光客が増えれば、宿泊や飲食、小売、交通など幅広い産業に消費が生まれる。その一方で、人が国境を越えて移動しやすくなることは、犯罪を企てる者にとっても国境を越えやすい環境が広がることを意味する。
そのリスクが表れたのが、2026年8月に東京・中野ブロードウェイの時計店で発生した事件である。約2億円相当の腕時計4本が盗まれた事件で逮捕されたチリ国籍の男2人は、その後の捜査で、事件の3日前に大田区の高級住宅街でも犯行に及んでいたことが発覚した。駐車場から車が出ていくのを目撃して留守を確認し、窓ガラスを割って侵入、約800万円相当の腕時計や現金を盗んだ疑いで再逮捕されている。
警視庁の調べに対し、容疑者らは「ヨーロッパ中で高級住宅を狙って窃盗をしていた。1日3~4件やった日もある。国境を越えて逮捕を免れていた」と、世界を股にかける広域窃盗犯であることをうかがわせる供述をしている。さらに、「日本は捕まっても刑罰が軽いと聞き、高級住宅街を狙った」とも語っていたという(『TBSテレビ』『読売新聞』2026年9月28日付け)。
これらのニュースに寄せられたネット上のコメントからも、事実に基づく報道を踏まえ、日本の防犯体制や法執行に対する強い危機感が示されている(以後のコメントも、読みやすくリライト済み)。
「日本の刑罰が軽いという見方が、海外にも広がっているのではないか。捕まっても大きな痛手にならないと思われれば、繰り返し日本を狙う犯罪者が出てくる可能性もある。「犯罪インバウンド」ともいえる状況にならないためにも、国会ではもっと真剣に議論してほしい。居眠りしている場合ではないのではないか」
「これが事実だとすれば、これまで日本が築いてきた治安への信頼について、改めて考えるきっかけになる発言ではないだろうか。外国人犯罪をめぐっては、これまでの日本の対応に「理不尽ではないか」と感じる人もいる。不起訴となるケースもあり、法や秩序をこれまでの安全意識だけに頼って維持していくことには、課題もある。日本が犯罪者にとって狙いやすい場所と見られることを防ぐには、国境を越える犯罪を想定した防犯体制や法制度の整備が必要だ。国際的な動きを踏まえたルールづくりを進め、国内で暮らす人たちの安全を守る仕組みを考えていく必要がある」
ここで問われているのは、外国人旅行者の増加と犯罪リスクを安易に結びつけることではない。観光需要を生み出すためにつくられた
「人が国境を越えやすい仕組み」
が、犯罪者によって高度に利用される危険性があるという現実だ。海外の警察当局などは、こうした渡航を円滑にする制度を悪用して入国し、短期間で集中的に犯行を重ね、盗品を直ちに現金化・国外送金して逃亡する「タッチアンドゴー」型の広域組織犯罪を「窃盗ツーリズム」と呼び、警戒を強めている。