なぜ世界は「昭和の日本車」に熱狂するのか? 市場は約9600億円へ、“中古車”が資産に変わる瞬間
1980~1990年代の国産車が、いま世界で資産へと変貌している。中古100万円台だった車両が1000万円超で落札され、市場規模は2033年に61億ドルへ拡大。JDM熱は観光や部品供給まで波及し、日本発の“文化経済圏”を形成しつつある。
未来へ繋ぐ「知的財産」への価値転換

JDMという潮流は、もはや一過性の流行ではない。日本の産業が世界に遺した「目に見える資産」としての地位を、確かなものにした。2033年には61億ドルにまで膨らむと予測される市場規模は、ひとつの巨大な経済圏を形作っている。かつてはありふれた移動手段に過ぎなかった日本車が、世界中の投資対象へと昇り詰めていく過程を、私たちは今まさに目の当たりにしているのだ。
この価値を将来にわたって守り抜くためには、持ち主の防犯努力に頼るだけでは限界がある。国や企業が手を取り合い、法や制度の面から土台を整えることが欠かせない。メーカー自らが歴史の継承に乗り出し、古い車の部品を供給し続ける動きは、日本車が長年築いてきた「信頼」という無形の価値を世界に証明する営みといえる。
大黒PAなどで見られる熱狂を、いかにして持続可能な観光資源へと育てていけるか。ここが今後の大きな分かれ道になるだろう。JDMを過ぎ去った時代の遺物として片付けるのではなく、未来へ繋ぐべき知的財産として生かしていく。そんな姿勢こそが、これからの日本車を取り巻く市場において、最も求められる視点になるはずだ。