なぜ世界は「昭和の日本車」に熱狂するのか? 市場は約9600億円へ、“中古車”が資産に変わる瞬間

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1980~1990年代の国産車が、いま世界で資産へと変貌している。中古100万円台だった車両が1000万円超で落札され、市場規模は2033年に61億ドルへ拡大。JDM熱は観光や部品供給まで波及し、日本発の“文化経済圏”を形成しつつある。

聖地「大黒PA」と巨大娯楽への進化

自動車(画像:Pexels)
自動車(画像:Pexels)

 JDM文化は今や、国内の新たな観光資源として確かな存在感を示し始めている。民間による関連イベントも増え続けており、なかでも訪日外国人をターゲットにした「JDMツアー」の勢いは目覚ましい。

 国産の旧車にゆかりのある場所や博物館を巡るこの旅は、海外の車好きから熱い視線を注がれている。かつて日本の「走り屋」が集う場所だった神奈川県の大黒パーキングエリア(PA)も、今では彼らにとって欠かせない聖地となった。車両価格が跳ね上がり、個人で手に入れることが難しくなるなかで、現地で本物の車に触れる体験そのものが、旅の大きな目的になっている。一方で、騒音やマナーの問題に加え、旅行業法に触れるような無許可のツアーも横行しており、急激に膨らむ市場にルール作りが追いついていない危うさも透けて見える。

 サーキットを舞台にした動きも盛んだ。「JDMクロニクル」では、富士スピードウェイに500台もの車両が詰めかけた。古い名車から最新の改造車までが並ぶ光景は、国内でも指折りの規模を誇る。さらに「Red Bull Tokyo Drift 2026」といった催しでは、JDMがドリフト走行という別の熱狂と結びつき、多くのカスタムカーが会場を彩った。

 こうした流れを俯瞰すれば、JDMがもはや車の売り買いという枠を飛び出し、巨大な娯楽コンテンツへと姿を変えたことがわかる。「JDM」という言葉は、本来の「日本車」という枠組みを超え、多様なサービスや体験を包み込んだ、ひとつの大きな文化圏を指すものへと進化を遂げたようだ。

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