江東区の計画は大失敗 結局、ロープウエーは「都市の輸送手段」になれるのか?

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ロープウエーが新たな都市の輸送手段として注目されているが、話題の「YOKOHAMA AIR CABIN」は新たな公共交通として捉えられていない。いったいなぜなのか。

検討段階から難航した理由

江東区の資料(画像:江東区)
江東区の資料(画像:江東区)

 当時の資料を読むと、

「オリンピック・パラリンピック開催に向けた魅力的な観光資源として都市型ロープウエーを導入する。交通手段として比較的高い輸送力を有し、道路交通に負荷をかけずに短期間で整備が可能なため、都心方向へのアクセス強化にも貢献ができる」

とし、有明・豊洲に整備を検討することを示している。ただ、この計画は検討段階から難航している。

 なぜなら、整備する理由が

・観光用
・鉄道・バスに代わる公共交通手段

どちらなのか判然としなかったからだ。2015年6月、山崎孝明区長は定例記者会見でロープウエーの進行状況を尋ねられ、こう回答している。

「最初の計画で、私の考え方と事業者の考え方が違っていまして、私は観光用として考えているのです。ところが事業者側が検討したのは、豊洲から汐留の通勤用の、つまりBRT(バス・ラピッド・トランジット大容量の都市公共輸送システム)の機能を果たすようなシステムを考えていたようです。ですから30~40人乗りの大きなゴンドラで、料金は通勤用として考えると片道300円だと。こういう計算で考えていたようで、これでは資金回収にそれこそ50年もかかってしまう。これでは事業者が集まるはずがありません。私は、観光用ですと、ですから、1500円~2000円の料金で乗ってもらえる。観光用ならば強風が吹いた時には止めてもいいわけです。通勤用ではありませんから。だからそうやってものを考えていけば、私は実現可能であると思っております。まだ5年ありますから、必死に何とか実現したいと思って、これからも挑戦を続けていきたいと思っております」

問題は「お役所仕事」だけではない

江東区の資料(画像:江東区)
江東区の資料(画像:江東区)

 2016年2月の区議会定例会での答弁によれば、このような齟齬(そご)は次のとおりだ。

 区では構想を受けて、民間事業者に委託し整備費用や採算性を検討した。ここで民間事業者は、ロープウエーが通勤用に使われることを前提に試算。ゴンドラは30~40人乗り。強風時にも運行を停止しないような設備を整備すると、費用は1200億円とされた。

 これに対して江東区は、ロープウエーは観光用でありゴンドラ6~7人乗り、強風対策も風が強い時には運行を停止することを前提で構わないと改めて試算を依頼。改めて整備費用は600億円になったという。答弁のなかで山崎区長は

「まだこれからもっと下げなければいけないと思っていますが、何とかレガシーとして次世代に引き継ぐために、オリンピック・パラリンピック開催までに実現するという夢を追い続けたいと思っております」

とも語っているが、その後、具体的な検討が進むことはないまま、話は立ち消えになっている。

 これを、観光用か公共交通かを最初に提示しなかった

「お役所仕事」

と批判するのは簡単だ。

 しかし、問題の本質は前述のとおり、ロープウエーが観光地のアトラクション程度にしか考えられておらず、公共交通としてそもそも捉えられていないことだろう。

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