「さよなら無料Wi-Fi」 JR東海25駅一斉終了は妥当か?――インバウンド過去最高時代、駅の機能はどこまで削られるのか

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インバウンド146万人増を見込んで整備された駅の無料Wi-Fiが転機を迎えた。JR東海は2026年3月末、25駅で提供を終了する。通信の個人化と維持費の重さを背景に、駅は情報提供から輸送重視へ軸足を移し始めた。

施策四本柱の変化

駅無料Wi-Fi終了と戦略。
駅無料Wi-Fi終了と戦略。

 総務省が2014年から進めた「SAQ2 JAPAN Project」は、当時総務副大臣だった上川陽子が主導し、インバウンドの通信環境を整えるために始まった。

 掲げられたのは、無料Wi-Fiの整備、国内発行SIMへの差し替え、国際ローミング料金の引き下げ、言葉の壁をなくす取り組みの四つである。そのなかでも、SIMの利用拡大は想定より早く進んだ。当時は物理カードの交換を前提としていたが、eSIMの登場で通信契約は大きく手軽になった。

 こうした変化により、個人が通信プランを持つ動きが広がった。駅が通信手段を用意する必要は薄れている。利用者が自分の回線で完結できる以上、事業者が接続画面を通じて自社サービスへ誘導する利点も見えにくい。

 JR東海は、動きの速い通信分野から手を引き、限られた経営資源を本来の輸送サービスに振り向けている。無料Wi-Fiの終了は、駅の役割を見直す流れのなかで出てきた判断だといえるだろう。

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