「さよなら無料Wi-Fi」 JR東海25駅一斉終了は妥当か?――インバウンド過去最高時代、駅の機能はどこまで削られるのか
インバウンド146万人増を見込んで整備された駅の無料Wi-Fiが転機を迎えた。JR東海は2026年3月末、25駅で提供を終了する。通信の個人化と維持費の重さを背景に、駅は情報提供から輸送重視へ軸足を移し始めた。
インバウンド増と整備拡大

2010年代、インバウンドの増加を受け、国は公共Wi-Fiの整備を強く進めた。文化財や博物館は行政が、駅や空港は民間が担う枠組みが整い、補助金や交付金も投じられた。当時の総務省の資料では、全国整備によりインバウンドは146万人増え、消費は2102億円伸びると見込まれていた。地方にも波及し、インバウンドは321万人増、消費は1542億円増とする試算であった。
ただ、実際の伸びは当時の見込みを大きく上回る。金子恭之国土交通相が2026年1月20日に示したところでは、2025年のインバウンド数はおよそ4270万人に達する見通しとなった。2024年の3687万人を超え、過去最多となる。消費額も2024年の8兆1257億円を上回り、9.5兆円前後まで膨らんだ。宿泊市場も動きがよく、2025年度の旅館・ホテルの売上高は過去最高の6.5兆円に達する見込みだ。2026年2月末時点で事業者の約3割が増収を見込んでおり、観光は人口減少下でも成長が見込める分野となっている(『フジテレビ』2026年3月31日付け)。
いま焦点は、人を呼び込むことから
「混雑をどう抑えるか」
へ移った。Wi-Fiを使うために通路やホームで足を止めれば、人の流れは滞る。JR東海は、収益が見込みやすい新幹線エリアに機能を寄せ、在来線からは手を引いた。駅の使い方を改めた形だ。
通信が個人の手元で完結する現在、事業者が重い維持費を抱え続ける理由は見えにくい。行政や企業が担ってきた補いの役目は一巡し、本来の輸送サービスに力を入れることが、経営を続けるうえで現実的な道になっているのだ。