「さよなら無料Wi-Fi」 JR東海25駅一斉終了は妥当か?――インバウンド過去最高時代、駅の機能はどこまで削られるのか
インバウンド146万人増を見込んで整備された駅の無料Wi-Fiが転機を迎えた。JR東海は2026年3月末、25駅で提供を終了する。通信の個人化と維持費の重さを背景に、駅は情報提供から輸送重視へ軸足を移し始めた。
eSIM普及の影響

スマートフォンは、物理カードを使わないeSIMの広がりで姿を変えた。かつてのようにカードを差し替える手間はなく、安い通信プランをすぐに使える。こうした変化もあり、多くの公的資金を投じて通信環境を整える必要は薄れてきた。
総務省が2015(平成27)年4月に開いた研究会で配られた資料がある。10年以上前のものだ。「【参考】自治体Wi-Fiの整備・利活用の留意事項」の冒頭には、インバウンド向けに無料Wi-Fiを整える具体的な手法が並ぶ。
当時は通信会社の網がまだ十分ではなく、Wi-Fiはそれを補うための暫定的な手段だった。その後、技術の進歩が不足を埋め、事業者が通信設備を抱え続ける理由は薄れていく。JR東海の判断は、こうした役割が一通り終わったことを映している。将来の見込みが立ちにくい資産を早めに手放す。経営として無理のない引き際だといえるだろう。