前年比9倍! 「宮城県南部」にインバウンドが急増したワケーー大都市でもないのに「全国首位」、いったい何が起きたのか
2025年の訪日客は4270万人、消費額は9.5兆円と過去最大を更新した。一方、滞在増加率では宮城県岩沼市が前年比9.33倍で首位となるなど、地方都市が急浮上している。背景にあるのは名所の人気ではなく、地方空港とスマートフォン検索が生んだ「移動経路の再編」だ。観光の重心は今、静かに動き始めている。
雪体験が生む訪問動機

北海道美唄市の前年比2.29倍という伸びも、注目すべき変化を示している。主な滞在地はAlpen SNOWLAND美唄で、12月にはシンガポールからの観光客が目立ち、マレーシアやフィリピンからの訪問も多い。この地域では、雪に触れる体験そのものが旅の目的となっている。
熱帯圏の人々にとって希少な資源である「雪」を、新千歳空港からのアクセスの良さを生かして手軽に楽しめるよう整備した結果である。滞在者の動きをみると、札幌や小樽、旭川、富良野を巡りつつ、国内線で新千歳空港と東京の羽田や成田空港を結び、首都圏も含めて回る様子が確認される。旅行者は日本全体をひとつの大きなテーマパークのように捉え、特定の体験を効率よく回収するために移動を最適化している。
従来の北海道観光と似た経路を辿りながらも、特定の体験施設が行動の起点となっている点が、これまでと異なる特徴だろう。