前年比9倍! 「宮城県南部」にインバウンドが急増したワケーー大都市でもないのに「全国首位」、いったい何が起きたのか
2025年の訪日客は4270万人、消費額は9.5兆円と過去最大を更新した。一方、滞在増加率では宮城県岩沼市が前年比9.33倍で首位となるなど、地方都市が急浮上している。背景にあるのは名所の人気ではなく、地方空港とスマートフォン検索が生んだ「移動経路の再編」だ。観光の重心は今、静かに動き始めている。
北陸で進む復興と滞在型観光

石川県七尾市の前年比2.47倍という伸びには、独自の背景がある。主な滞在地は和倉温泉や道の駅能登食祭市場、のとじま水族館だ。
2024年の能登半島地震で減少した観光客は、2025年春以降の旅館営業再開に合わせて戻ってきた。この増加は、震災後の反動だけでなく、欧米圏の旅行者が求める質の高い静養や癒やしの需要と重なった結果である。
周遊ルートをみると、金沢市や富山市、高岡市を巡る動きが確認される。東京から北陸を経て大阪を結ぶレインボールートが再び機能し始めたことを示している。七尾市の増加は、震災前への回帰にとどまらず、地域の資源を価値の高い滞在へと結びつける動きでもある。通過型の移動から、心理的な充足を目的とした深い旅へと、北陸観光の質が変化していることが浮かび上がる。