なぜ中国は「EVバッテリー」を大量廃棄するのか? 非正規業者「18万社」の現実とは

キーワード :
,
中国でEV普及に伴う廃バッテリーが急増し、2025年には100万個に達する見通しだ。制度整備が進む一方、非正規ルートのまん延が環境負荷を拡大し、リサイクル市場の成長と課題が交錯している。

EV普及が迫る日本の回収網試練

2025年8月25日発表。主要12か国と北欧3か国の合計販売台数と電気自動車(BEV/PHV/FCV)およびHVシェアの推移(画像:マークラインズ)
2025年8月25日発表。主要12か国と北欧3か国の合計販売台数と電気自動車(BEV/PHV/FCV)およびHVシェアの推移(画像:マークラインズ)

 中国の課題は、日本にとっても無関係ではない。政府の方針やメーカーの戦略を背景に、日本でもEVの普及は確実に進む。これは、いずれ日本も廃バッテリー問題に直面することを意味する。

 現在、日本では自動車メーカーやJBRCが連携し、回収体制が比較的整っている。しかし、EVの台数が急増し、中古市場や個人間取引が広がれば、すべてのバッテリーが正規ルートで回収される保証はない。中国と同様に、利便性や利益を優先する非正規ルートが生まれる可能性は十分にある。

 中国の事例が示すとおり、最終的にバッテリーをどう処分するかはユーザーの判断に委ねられる。制度や技術が進化しても、最後の担い手はひとりひとりのモラルだ。

「高く売りたい」
「手続きが面倒だ」

という心理が、環境負荷を拡大させる現実を見なければならない。未来のクリーンな交通社会を築くには、制度やインフラだけでなく、ユーザーの意識の成熟が欠かせない。

全てのコメントを見る