「50代は馬車馬のように働け」は暴論? それとも正論?トヨタ会長が放つ「敵前逃亡」という強烈な問い――激動期に求められる人材とは

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「50代こそ働け」は暴論か。それとも日本産業の再起を託された現場のリアルか。経験・体力・判断力が交差するこの世代に、いま最も高負荷の意思決定と移動を託すべき理由を、トヨタ会長の発言を起点に読み解く。問題は働き方ではない。誰が最終責任を引き受け、動くのかという問いそのものである。

印象的な「敵前逃亡」論

トヨタ自動車代表取締役会長の豊田章男氏。写真と今回の動画は無関係(画像:トヨタ自動車)
トヨタ自動車代表取締役会長の豊田章男氏。写真と今回の動画は無関係(画像:トヨタ自動車)

 先日、Facebookを眺めていたところ、アルゴリズムが流してきた短いリール動画が目にとまった。そこには、トヨタ自動車代表取締役会長である豊田章男氏(69歳)が「50代こそ、馬車馬のように働かせろ」と語る姿が映っていた。

 さらに豊田氏は続けて「55歳で『もう自分は次の世代に替わります』というのは『敵前逃亡』だ」とまでいい切った。

 強い言葉だった。しかし、それは決して思いつきの暴論ではないだろう。むしろ、現在の日本産業が直面する

・人材循環の停滞
・組織設計の疲弊
・移動と判断をめぐる負荷の再分配

といった課題を、正面から問い直すきっかけとなる発言だった。本稿では、豊田氏の発言の根底にある視点を掘り下げ、

・なぜ50代が最も重要な労働力とされるのか
・なぜ引き継ぎが敵前逃亡と見なされるのか

という問いに、トヨタを含むモビリティ産業の現場と企業戦略から迫る。

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