トヨタはなぜ38億円も? EUカルテル摘発で浮き彫りになった「リサイクル費用」の責任! そもそも誰が負担すべきなのか

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欧州委が自動車15社に計4.58億ユーロの課徴金――約15年続いた自動車リサイクル分野でのカルテルが摘発された。トヨタや日産など日本勢も対象。EUと日本の制度差も浮き彫りに。リサイクル費用は誰が負担すべきか、再考を促す契機となる。

今回のカルテルの問題点はふたつ

ACEAのウェブサイト(画像:ACEA)
ACEAのウェブサイト(画像:ACEA)

 今回の自動車リサイクルに関するカルテルでは、次のふたつの問題点が指摘されている。

・自動車解体費用を支払わないことを申し合わせていた。また、自動車メーカーと解体業者との契約について、情報を交換し調整していた。
・リサイクル比率などに関する情報を積極的に公開しないことを取り決めていた。

自動車解体費用については、2000年10月に発効したEU指令により、自動車ユーザーは無料で解体できることになっていた。必要に応じて、自動車メーカーがその費用を負担するルールだった。

 それにもかかわらず、各メーカーは「自動車解体は収益性の高いビジネス」と見なし、費用を支払おうとしなかった。解体業者との契約もカルテルで調整されており、メーカーの支出を抑える方向に働いていたのは明らかである。

 リサイクル比率などの情報については、本来、ユーザーが購入時に知らされるべき内容である。それを公開しなかったことは、明確に法令違反である。欧州委員のひとりは

「今回の件は、自動車ユーザーから環境に優しい製品を選ぶ機会を奪っていた」

と指摘している。その通りだといえる。欧州委員会の調査によれば、ACEA(罰金0.5百万ユーロ)がカルテルを後押ししていた。自動車メーカー間の調整にも関与していたとされる。

 欧州市場でのシェアが大きくない日本の自動車メーカーが、そもそもカルテルに関与する必要があったのかには疑問が残る。とはいえ、ACEAが主導していた以上、

「郷に入っては郷に従え」

というように、加わらざるを得なかった面もあったのだろう。

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