「手軽サイズの車に乗りたい!」 新型ジムニー「5日で5万台」の大ヒットも、日本車の巨大化が全然止まらないワケ
国内新車市場では、軽自動車や手軽サイズの車が依然として高い需要を誇る一方で、メーカーは収益性を重視し、SUVや高級車の開発に注力。そのギャップは、日本市場の実需とグローバル戦略の乖離を浮き彫りにしている。
ジムニー成功の背後にある課題

日本の自動車メーカーは、かつてこうした車に強みを持っていた。初代シビックやカローラは、コンパクトながら高品質な車として世界中で評価され、日本の道路事情に適したサイズ感と優れた燃費性能が、グローバル市場でも大きな強みとなっていた。
しかし、現在では多くのメーカーが欧米市場のニーズに応じて、大型車の開発を進めている。かつて5ナンバーサイズだった車種も、現行モデルでは3ナンバー化が進み、軽自動車以外の選択肢は減少している。この流れのなかで、日本市場の特有のニーズが十分に反映されていないと感じられる場面も増えている。
スズキのジムニーノマドは、発売後わずか数日で5万台を超える受注を記録し、手軽サイズの車に対する潜在的な需要の高さを示した。手頃な価格とシンプルな設計、運転しやすいサイズ感が多くのユーザーに支持され、成功を収めた。
その一方で、他のメーカーが同じ戦略を採らない背景には、開発コストや収益性の問題があると考えられる。ジムニーは長年にわたって確立されたモデルであり、そのコンセプトを基にリスクを抑えた開発が行われていた。一方、新しいモデルを開発する場合、開発費を回収できるだけの販売台数を確保できるかどうかについて、慎重な見極めが求められるだろう。