優先席「譲るつもり」はウソだった!? 座る人は「約7割」 その大半が抱える“矛盾”を熟考する
電車の優先席に関する「譲るつもり」が実際の行動につながらない現象。その背景には、心理的要因や社会的価値観、鉄道設計が複雑に影響している。2023年の調査によると、66.9%が優先席に座るものの、実際に譲るのは若者が中心。譲りやすい環境を作るためには、鉄道事業者の改革が不可欠である。
長時間労働が生む「権利意識」

なぜ中年男性以上が席を譲るケースが少ないのか。
電車内の様子を見ていると、優先席で席を譲るのは若者が多いように感じられる。対照的に、中年男性以上が席を譲る場面はあまり見られない。この違いは、個人の意識だけでなく、社会的な背景とも関係しているのではないか。
中年男性の多くは長時間労働を経験し、慢性的な疲労を抱えている。電車の座席は単なる移動手段ではなく、貴重な休息の場という意味合いを持つこともある。
「これだけ働いているのだから、座るくらいは許される」
といった意識が、無意識のうちに芽生えやすいのかもしれない。また、「働く男性は疲れていて当然」という価値観が根強く残る日本では、周囲の視線を気にせず座り続けることへの心理的ハードルが低いことも影響していると考えられる。
社会的な価値観の違いも、席を譲る頻度に関係しているようだ。日本では、若者には「気配りをすること」が求められる場面が多く、特に女性に対しては「周囲に気を配るべき」という意識が強く働きやすい。それが電車内での行動にも反映されているのではないか。
一方、中年男性は率先して気を配る役割を求められる機会が少ない。「自分が譲るべきだ」と考える発想自体が生まれにくいことも、席を譲る行動が少ない理由のひとつといえそうだ。