「民泊反対」とインバウンド急増! 深刻化する地域トラブル、解決の道はあるのか

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インバウンド需要に応じて急増する民泊施設。地域社会との軋轢や運営の課題が浮き彫りに。事業廃止率39%を超える民泊市場において、地域コミュニティーとの共生が重要な課題として提起されている。

安価な享楽が生む社会問題

民泊するインバウンドのイメージ(画像:Pexels)
民泊するインバウンドのイメージ(画像:Pexels)

 インバウンドの「質」の変化も影響している点を忘れてはならない。

 彼らが民泊を利用する理由は「コストパフォーマンスの高さ」に尽きる。需要の急増でホテルが高額になっている一方、民泊ははるかに安い。つまり、民泊は円安によって増加した

「安価な享楽」

を求めるインバウンドの受け皿となっている。この点が、深夜の騒音や迷惑行為といった問題が増加している要因といえるだろう。

 観光社会学者の中井治郎氏は『週刊トラベルジャーナル』2024年7月15日号で、ハワイやバンコク、アムステルダムなど、観光客の急増を経験した多くの都市で夜の歓楽街が拡大し、治安の悪化を招いた事例を指摘している。特にアムステルダムでは、

・ドラッグ
・性産業

が「観光の目玉」となり、地域社会が深刻な影響を受け、住民たちは「私たちはここで暮らしている」という切実なメッセージを掲げることになったという。これらの事例を挙げて、中井氏は次のように警鐘を鳴らしている。

「「光を見せる」という観光産業はあくまでその国の花であるべきだ。だからこそ、足元を見られないために、花を支える茎や根の部分(基幹産業や地域文化、生活など)を盤石にしておく必要があるのではないだろうか」

この視点は、現在の民泊を巡る問題とも重なっている。観光地の魅力が輝き続けるためには、地域の基盤である生活環境や文化が損なわれないよう配慮することが重要だ。

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