「民泊反対」とインバウンド急増! 深刻化する地域トラブル、解決の道はあるのか
民泊急増も廃止率が高い現実

インバウンドが急増するなか、民泊の拡大が進み、活況を呈しているというのが一般的なイメージだ。しかし、実際にはどうだろうか。
国土交通省が提供する住宅宿泊事業法に基づく宿泊(民泊)の実績データによると、2018年9月時点で全国の届出件数は9607件だった。それが2024年11月時点では4万5270件と、約5倍に急増している。特に東京23区では、その伸びが顕著で、新宿区は691件から3954件へと約5.7倍、豊島区は409件から2106件へと約5.1倍に増加している。
一方で、この数字の裏には意外な現実が隠されている。2024年11月時点のデータによれば、4万5270件の届出に対し、事業廃止件数は
「1万7450件」(39%)
となっている。この廃止件数の多さからは、参入と撤退が激しい状況であることがわかる。円安やインバウンド需要の回復を背景に、民泊は「儲かる商売」のように見えるが、実態は大きく異なるようだ。
それでも新規参入が続く背景には、高い収益率が期待されるからだ。民泊投資を勧めるあるサイトによると、北海道富良野エリアで民泊を開業した場合の収益予測が示されている。これによれば、富良野エリアでは3LDK物件の場合、通常の賃貸では利回り0.8%(月額収入7.5万円、利益4.5万円)に対し、民泊は9.6%(月額収入98.1万円、利益58.9万円)の収益率が見込めるという。また、1LDKでも、賃貸の月額収入4万円(利益2.4万円)に対し、民泊なら26.1万円(利益15.7万円)と、約6.5倍の収益が期待できるという。
一般的な新築アパートの場合、経費を除いた利回りは3%。仮に5%あれば理想的とされている(最低でも3%得られるのではなく、最低でも3%は確保しないと経営が成り立たないという意味)。つまり、インバウンドが増加するなかで、高収益への期待が民泊への参入を増加させている要因だといえるだろう。