「民泊反対」とインバウンド急増! 深刻化する地域トラブル、解決の道はあるのか

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インバウンド需要に応じて急増する民泊施設。地域社会との軋轢や運営の課題が浮き彫りに。事業廃止率39%を超える民泊市場において、地域コミュニティーとの共生が重要な課題として提起されている。

地域社会に広がるトラブル

民泊するインバウンドのイメージ(画像:Pexels)
民泊するインバウンドのイメージ(画像:Pexels)

 しかし、高収益の裏にはさまざまな問題が存在する。

 観光の繁忙期には高収益が期待できるものの、オフシーズンには大幅な収入減が避けられない。賃貸とは異なり、安定した家賃収入は望めない。運営コストも課題だ。通常の賃貸では入居者が負担する清掃費や光熱費を、民泊では事業者が全て負担しなければならないため、人件費などの運営コストが増加する。

 さらに、施設の維持管理コストも問題となる。頻繁に利用者が入れ替わるため、施設の劣化が早まり、修繕や更新にかかる費用が賃貸よりも高額になる。近隣住民とのトラブルも深刻だ。騒音やゴミ問題が問題視されることが多く、事業者にとって時間と費用の負担が大きく、収益を上回るリスクとなる場合もある。

 これらの課題があるため、民泊への参入と撤退が頻繁に繰り返されている背景には、高収益への期待と厳しい現実とのギャップが浮かび上がる。また、民泊の急増が地域社会に新たな軋轢を生んでいる。千葉県一宮町では、4年間で民泊施設が6倍近くに増加し、

・深夜の騒音
・迷惑行為

に対する住民からの苦情が増加。これを受けて、2024年1月には改善命令に従わない場合、氏名を公表する条例が制定された。

 大阪市でも観光需要の回復とともに、保健所への民泊に関する苦情が再び増加している。騒音やゴミ問題が主な課題として指摘されている。事業者側もさまざまな対策を講じているものの、一時的な滞在者に地域のルールを徹底させるのは容易ではない。民泊が

・住宅ストックの有効活用
・地域活性化の手段

として期待された一方で、実際には地域コミュニティーの秩序を揺るがす新たな社会問題に発展している。

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